◆「PFOS問題と低環境負荷型フッ素系界面活性剤の創製」
  林 永ニ氏    (産業技術総合研究所基礎素材研究部門 主任研究員)


<講演要旨>
PFOS(perfluorooctane sulfonate)というフッ素系界面活性剤が生体中に蓄積していることがわかってきた。この物質は濃硫酸中で煮沸しても分解しないほど安定した化合物で、環境中では極めて難分解である。これまでは界面活性剤であるために微量分析が難しかったため見つけられなかったが、HPLC/MS/MSによる分析で検出感度が1-3ug/Lまであがり、東京湾などの海水や魚類中、北極の熊やペンギンにも含まれることが明らかとなってきた。生体内半減期は4年程度と考えられており、急性毒性は劇物にあたるLD50値を有する。3Mが生産してきたが、現在は自主的に生産を中止している。
 PFOSは、非常に界面活性能力が高く、また油中でも水中でも界面活性能力を有することから、重合乳化剤、泡消火剤、メッキ液やエッチング液の添加剤、写真・感光材、塗料やインキ等に加えて、トリクロロエタン代替洗浄剤としても使われてきていた。しかし、この問題が発生して生産自主中止となって、より安全な代替材の開発が急務となっている。要求される性能から、代替物もフッ素系なものにせざるを得ないと考えられているが、低環境負荷型のフッ素系界面活性剤の開発が必要になっている。現在、演者らが見いだした、室温で容易に脱炭酸するフッ素材料である含窒素ペルフルオロカルボン酸を用いて、開発を進めている。

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